お家のデザインを決める上で、大切なポイントとなるのが屋根選びです。
選択した屋根材の種類によってデザイン性は異なり、機能性もそれぞれに特色があります。
そこで今回は、屋根材の種類について解説してまいります。屋根材ごとの特徴を把握して、自分たちの理想の暮らしに合った屋根材を選ぶようにしましょう。
屋根材の種類は大きく4つに分類される
屋根材の種類は大きく4つに分類され、住宅の構造体や設計により、適切な屋根材を選ぶ必要があります。
デザイン性だけではなく、機能性なども把握して、比較検討して下さい。
・粘土系
・スレート系(コロニアル・カラーベスト)
・セメント系(プレスセメント瓦・コンクリート瓦)
・金属系
順番に解説します。
粘土系
粘土系は、日本家屋で馴染みの深い粘土を焼いて成形された瓦の屋根材です。
日本家屋の減少に伴い、使用頻度は減少傾向にあるものの、機能性の高い屋根材といえるでしょう。
スレート系(コロニアル・カラーベスト)
スレート系は、セメントに繊維素材を配合した薄い板状の屋根材です。
戸建住宅を含め、多くの家屋に使用されており、近年最も普及した屋根材といえるでしょう。
セメント系(プレスセメント瓦・コンクリート瓦)
セメント系は、モルタル(セメント+砂+水)で成形・塗装された屋根材です。
粘土系に比べて、安価ですが、定期的なメンテナンスが求められます。
金属系
金属系は、名前の通り金属を加工した屋根材です。
戸建住宅では、ガルバリウム鋼板製の金属屋根が広く普及しており、スレート系と並んで人気の屋根材といえるでしょう。
屋根材の種類の比較表
屋根材ごとの特徴を表にまとめていますが、製造年代や施工技術により評価は異なりますので、あくまでも参考としてご確認下さい。
外観 | 耐用年数 | 価格 | 重量 | 耐震性 | 耐風性 | 防音性 | メンテナンス | ランニングコスト | |
粘土瓦 | 〇 | 60年 | 9000円~ | × | × | 〇 | ◎ | ◎ | ◎ |
セメント瓦 | 〇 | 30年 | 6000円~ | △ | × | 〇 | ◎ | △ | △ |
スレート屋根 | 〇 | 20年~ | 4500円~ | 〇 | 〇 | △ | 〇 | △ | △ |
アスファルトシングル | 〇 | 20年~ | 5000円~ | ◎ | 〇 | △ | 〇 | △ | △ |
金属屋根・トタン | × | 10年~ | 5000円~ | ◎ | ◎ | △ | × | × | × |
ガルバリウム鋼板 | 〇 | 30年 | 7000円~ | ◎ | ◎ | △ | △ | △ | △ |
ジンカリウム鋼板 | 〇 | 40年 | 9000円~ | 〇 | 〇 | △ | 〇 | 〇 | 〇 |
銅板 | △ | 60年 | 20000円~ | ◎ | ◎ | 〇 | △ | ◎ | ◎ |
ステンレス | △ | 50年~ | 10000円~ | 〇 | 〇 | 〇 | △ | ◎ | 〇 |
陸屋根 | 〇 | 10年~ | 5000円~ | ー | 〇 | 〇 | 〇 | △ | △ |
屋根材の種類と特徴
上記の表にまとめた屋根材の特徴を詳しく見ていきます。
メリット・デメリットを把握して、自分たちの建てたいお家に合った屋根材を選びましょう。
・粘土瓦
・セメント瓦(プレスセメント瓦・コンクリート瓦)
・スレート屋根(コロニアル・カラーベスト)
・アスファルトシングル
・金属屋根・トタン
・ガルバリウム鋼板
・ジンカリウム鋼板
・銅板
・ステンレス
・陸屋根
順番に解説します。
粘土瓦
外観 | 耐用年数 | 価格 | 重量 | 耐震性 | 耐風性 | 防音性 | メンテナンス | ランニングコスト | |
粘土瓦 | 〇 | 60年 | 9000円~ | × | × | 〇 | ◎ | ◎ | ◎ |
粘土瓦は、日本家屋に適したデザインと耐久性の高さが特徴です。
日本の気候・風土に適しており、耐火性や遮音性など機能面にメリットがあります。
一方で、屋根材自体の重量による耐震性への不安と、メンテナンスの手間は少ないものの導入費用の高さがデメリットといえるでしょう。
セメント瓦(プレスセメント瓦・コンクリート瓦)
外観 | 耐用年数 | 価格 | 重量 | 耐震性 | 耐風性 | 防音性 | メンテナンス | ランニングコスト | |
セメント瓦 | 〇 | 30年 | 6000円~ | △ | × | 〇 | ◎ | △ | △ |
セメント瓦は、粘土瓦に比べ安価であり、耐久性の高さが特徴です。
定期的な塗装が必要なため、メンテナンス面は粘土瓦に劣りますが、価格面やカラーバリエーションに優れています。
スレート屋根(コロニアル・カラーベスト)
外観 | 耐用年数 | 価格 | 重量 | 耐震性 | 耐風性 | 防音性 | メンテナンス | ランニングコスト | |
スレート屋根 | 〇 | 20年~ | 4500円~ | 〇 | 〇 | △ | 〇 | △ | △ |
スレート屋根は広く普及しており、カラーバリエーションが豊富で、価格が安価であることが特徴です。
耐火性や耐震性に優れているものの、屋根材自体の耐久性は低いので、塗装など定期的なメンテナンスが必要な点はデメリットといえるでしょう。
アスファルトシングル
外観 | 耐用年数 | 価格 | 重量 | 耐震性 | 耐風性 | 防音性 | メンテナンス | ランニングコスト | |
アスファルトシングル | 〇 | 20年~ | 5000円~ | ◎ | 〇 | △ | 〇 | △ | △ |
アスファルトシングルの特徴は、デザイン性の高さと軽量化による耐震性の高さです。
カラーバリエーションが豊富で、複雑な形状の屋根にも対応できることがメリットですが、それほど普及していないため、施工実績のある業者が少ない点はデメリットといえます。
金属屋根・トタン
外観 | 耐用年数 | 価格 | 重量 | 耐震性 | 耐風性 | 防音性 | メンテナンス | ランニングコスト | |
金属屋根・トタン | × | 10年~ | 5000円~ | ◎ | ◎ | △ | × | × | × |
金属屋根・トタンのメリットは、軽量かつ安価であることですが、他の金属屋根が取り入れられたことにより、新築住宅で使用される機会はほとんどありません。
耐用年数が短く、断熱性や遮音性など機能面の低さがデメリットです。
ガルバリウム鋼板
外観 | 耐用年数 | 価格 | 重量 | 耐震性 | 耐風性 | 防音性 | メンテナンス | ランニングコスト | |
ガルバリウム鋼板 | 〇 | 30年 | 7000円~ | ◎ | ◎ | △ | △ | △ | △ |
ガルバリウム鋼板の特徴は、軽量で耐震性が高い点にあります。
価格も安価というメリットがあり、スレート屋根と並んで人気のある屋根材です。
断熱性と遮音性が低い点がデメリットですが、断熱材一体型など改良も進んでいます。
ジンカリウム鋼板
外観 | 耐用年数 | 価格 | 重量 | 耐震性 | 耐風性 | 防音性 | メンテナンス | ランニングコスト | |
ジンカリウム鋼板 | 〇 | 40年 | 9000円~ | 〇 | 〇 | △ | 〇 | 〇 | 〇 |
ジンカリウム鋼板の特徴は、表面に自然石を吹き付けている点です。
メリットとして、キズが付きにくく、錆や紫外線に強いことが挙げられます。
その半面、価格が高くなることはデメリットといえるでしょう。
銅板
外観 | 耐用年数 | 価格 | 重量 | 耐震性 | 耐風性 | 防音性 | メンテナンス | ランニングコスト | |
銅板 | △ | 60年 | 20000円~ | ◎ | ◎ | 〇 | △ | ◎ | ◎ |
銅板屋根の特徴は、耐久性の高さにありますが、戸建住宅にはあまり用いられていません。
メンテナンスフリーである点は魅力的ですが、価格が高く対応業者が少ないことが理由です。
ステンレス
外観 | 耐用年数 | 価格 | 重量 | 耐震性 | 耐風性 | 防音性 | メンテナンス | ランニングコスト | |
ステンレス | △ | 50年~ | 10000円~ | 〇 | 〇 | 〇 | △ | ◎ | 〇 |
ステンレス屋根の特徴は、耐久性・耐候性の高さにあります。
メンテナンスの手間が少なく、ランニングコストがほとんどかからない点はメリットですが、価格が高く、防音性や断熱性など機能面にデメリットを抱えています。
陸屋根
外観 | 耐用年数 | 価格 | 重量 | 耐震性 | 耐風性 | 防音性 | メンテナンス | ランニングコスト | |
陸屋根 | 〇 | 10年~ | 5000円~ | ー | 〇 | 〇 | 〇 | △ | △ |
陸屋根は、屋上部分が平面になっていることが特徴です。
メリットは、三角屋根では表現できないデザイン性にあり、シンプルモダンな佇まいは、流行に左右されないため人気があります。
一方で、屋上防水には気を配る必要があり、定期的なメンテナンスが必要です。
屋根材の種類を選ぶ際のポイント
屋根材の種類を選ぶ際は、価格・機能性・耐用年数などそれぞれのバランスを考える必要があり、注意しておきたいポイントを以下の通りまとめています。
・長期的なコストパフォーマンスで屋根材を選ぶ
・屋根材で重視する要素を明確にする
・悪徳業者に注意する
順番に解説します。
長期的なコストパフォーマンスで屋根材を選ぶ
一つ目のポイントは、長期的なコストパフォーマンスで屋根材を選ぶことです。
屋根材は種類ごとに、価格や耐用年数が異なります。
建築時の費用だけでなく、メンテナンスを含めた生涯コストも比較材料として検討して下さい。
屋根材で重視する要素を明確にする
屋根材で重視する要素を明確にすることも重要です。
すべての条件を満たす屋根材はなく、それぞれに一長一短があります。
デザイン性・価格・機能性など、予め家族の中で優先順位を決めておくとよいでしょう。
悪徳業者に注意する
悪徳業者に注意することもポイントの一つです。
安心して暮らせるお家を建てるには、信頼できる建築パートナーの存在が不可欠といえます。
優れた屋根材であっても、施工がいい加減では、その機能を果たせません。
建築についてはもちろんのこと、資金計画やプランニングにも親身になってくれる建築会社を選びましょう。
屋根材の種類に関するよくある質問
屋根材の種類に関するよくある質問をピックアップしていますので、自分たちのお家づくりを考えながら見ていきましょう。
一番安い屋根材はどれ?
一番安い屋根材は、スレート屋根となります。
㎡あたり4500円〜と比較的安価であり、カラーバリエーションも豊富で、取扱い業者が多いです。
一番頑丈な屋根材はどれ?
一番頑丈な屋根材には、粘土瓦が挙げられます。
デザイン性は限られますが、日本家屋が好きな方であれば、耐久性が高く、メンテナンス頻度も低いのでおすすめです。
一番おしゃれな屋根材はどれ?
一番おしゃれな屋根材を選びたい場合は、スレート屋根をおすすめします。
感性による部分が大きいため一概にはいえませんが、カラーバリエーションが豊富であることが理由です。
一番耐風性に優れている屋根材はどれ?
一番耐風性に優れている屋根材は、ズレや飛散防止の工法での施工が条件ではありますが、粘土瓦となります。
また、陸屋根は下からの吹き上げの影響を受けないため、耐風性に優れた形状といってよいでしょう。
まとめ:屋根材は自分の条件に適したものを選ぼう
ここまで、屋根材の種類について解説してまいりました。
重要なポイントは、屋根材が持つそれぞれの長所と短所を把握した上で、自分たちが建てたい家の条件に適したものを選ぶことです。
屋根は日差しを直接受け、常に外気にさらされているため、住宅性能に直結し、劣化に対するメンテナンスにも配慮が必要です。長く付き合うお家ですから、屋根材選びに不安がある時は、専門家に相談することをおすすめします。
自分たちの考えは大事ですが、専門家に相談して、意見を取り入れることも理想のお家への近道です。
THE HOUSEでは、お客様へハウジングトータルサポートを提案しています。
建築関連だけでなく、土地探しなどお家づくりでお悩みの方は、お気軽にお問い合わせ下さいませ。